外のこと
…今日こそは外に出てもらおう。
外のことにあんまり疎くてはいけないもの。
「うんちゅーし〜」
コンコン、と玉柱洞にノック音を響かせ、訪問者がやってきた。
別に、いつものことだ。
部屋の主は訪問者に背を向けたまま、まるで何も変化のないように実験を続けている。
訪問者は相変わらず背中しか向けやしない主に向かって話し始めた。
いつだってそうである。
「あのね、今日とうとう太乙の霊珠の研究が完了したらしくて、今から下へ降りるんだって。
あとは、下の方で…」
話す声に相槌も打たず、主はカチャカチャという音を立てて試験管を操っている。
あ、今椅子に座った。
…一応聞いているということは知っている。
知っているのだけれど…
「雲中子。ねえ、そんな実験ばっかりしてさ、外のことが全くわかんなくなっちゃうよ?」
とうとう苛立った口調で話し出す。
でも少しも動じた風には見せないで(実際動じているはずも無いのだけれど)雲中子はくるりとこちらを向いた。
「確かに私はここから外には出ていないよ。だけど外のこともあまり知らないことはないんだよね」
「なんでよ」
連敗記録を更新して、もうすっかりぶすくれている。
が連敗というのなら、こちらは連勝記録更新中という雲中子はいつもの表情をくずさない。
机に向かい合わせにを座らせる。
「なんなら、テストでもしてみるかい?」
「勿論!」
は、最近あったことでとても些細なこと、大柄なことなんでも問うた。
しかし、雲中子はどもることすらなく答えていく。
「ほら、ね?」
「だから、なんでよ」
敗北感がさらにの怒気を煽る。
雲中子は至極当然といった顔で答えた。
「だって、全て君が私に話してくれたものだから。本当に何でもないことすらも」
「…そうだっけ?」
こくりと頷く雲中子。
「だから、私には外とのつながりは要らないよ。さえいればね」
さらりと言いのけられては不覚にも怯んでしまう。
さっきよりも好奇心を強めた笑みを口元に浮かべている。
「ところで、はどうして私を連れ出そうとするんだろうね?」
「そりゃ、雲中子が外のことに疎くなると良くないし」
「その理由なら、今解決したところだね。でも君はまだ不満そうだけど」
も指摘されて今気付いた。
私はまだ不満があるらしい。
「どうしてだろうね?」
雲中子は至極楽しそうだ。
理由なんてとっくに自分で作り上げてるくせに。
否定なんてしないけど。肯定だってしないけど。
「…知らない!」
悔しいからなのか、恥ずかしいからなのかは分からないけれど、は顔を真っ赤にそめて顔を背けた。
向かいでは頬杖をついて、笑みを含んだままで試験管をいじる雲中子。
「じゃあ、今度外に出てみようか」
分かるかもしれないよね。
外に出てみれば。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
カオスといってはいけません。
ほのぼのなんて、所詮そんなもんなんだ!!(力説。)
というか、書いてて何を書きたかったのか分からなくなったんだ!!(力説。)
ほのぼのなんて、所詮そんなもんn…ry
ところで、この二人はくっついてるのかくっついてないのか…;