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チョコを贈ろう。




2月13日。

はとある場所へ向かっていた。



-金鰲の隠れ里-
「こーんにっちはー!」

「あら、。ご機嫌よう」

訪ねたのは、(自称) 美人三姉妹の一人、ビーナスの所である。

この時期に来客とあって、ビーナスはキランと目を光らせた。

「この日にいらっしゃるということは…アレですわね?」

「うん。チョコの作り方、教えて下さいっ!」

は、一応『付き合っている』という関係にある太公望にバレンタインチョコを渡す予定なのである。

もちろん、自称とはいえビーナスと太公望との間に婚約という関係があるのは知らない。

そして、ビーナスの方もと太公望の関係は承知していない。

だからこそ、今同じ屋根の下で同じ相手へのチョコを作るといった状態が形成されているのである。

そんな状況下に置かれているなど知る由もないビーナスは、とりあえずデザインから決めようと言い出した。

「お相手は、甘い物はお好きですの?」

は、問い掛けられて、自分が見てきた太公望のデータを寄せ集めてみた。

「うーん、結構甘党かな」

「では、これがいいんじゃありませんこと?」

ビーナスが指差す先には、『プランA』という文字と、生クリームで縁取りされたハート型のチョコの写真があった。

成る程、ある程度甘い物が好きな人にはいいかもしれない。

「よしっ。じゃこれにしよ!」



数分後。

とビーナスはエプロンを着、材料諸々を用意した。

用意し終えたところで、ビーナスは宝貝式ラジカセのスイッチを押した。

ぽちっ。
ちゃらちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっ。
ちゃらちゃっちゃっちゃらちゃらららら〜。

「ビーナス&の、」

「三分クッキングー!」

聴きなれた音楽をBGMに、とビーナスは見慣れた料理番組もどきを開始した。

「三分クッキングとか言っといて三分以上かかっちゃうのは暗黙の了解だよねっ!」

「その通りですわ」

そんな前置きと共に、ビーナスはまず板チョコに手をつける。

「まずは、チョコレートを作りますわ。型はこのハートでよろしくて?」

ビーナスはもう片手に用意した大きめのハートの型を掲げた。

「ううん、こっちで用意したんだ」

というと、はガサゴソと手持ちのバッグを漁る。

少しして取り出したのは、特注のチョコレート型。

太公望のトレードマークともいえよう、かの有名な電気ネズミのような輪郭に、横棒によって形成された目と、「3」を左右対称にした形の口を再現している。

「太乙に作ってもらったんだvチョコあげるって条件で」

義理チョコは元々皆にあげるつもりだったという事実は、勿論禁句。

この型を見ても、もちろんビーナスは気付きゃしない。

「まあ、お相手のお顔ですの?」

などと、ただ興味のみを持ってその型を眺めている。

相手のお顔の形だなんて、愛に溢れてますわ、とか言いながら。

「…さて、まずはチョコを細かく刻みましょう」

「はーい」

とにかく、さっさと溶かすにはチョコを細かく刻むことがポイントだ。

側面から削る感じに少しずつ捲れて行くチョコレートは、結構見ていて飽きない。

無心になりつつも、はビーナスの想い人(もちろん太公望)について聞いてみた。

「ねえ、ビーナスの好きな人ってどんな人?」

「あら、ったら。いやですわ、そんな、恥ずかしい//」

ビーナスは色々と想い人のあれやこれやを思い出し(しかし勿論妄想)、恥じらい、身をよじっている。

「そうですわね…大衆の面前なのに、愛の告白を躊躇いもなくしてくださる熱いお方ですわv」

「へ、へえ…そうなんだ…」

は、正直、『物好きな人もいるもんだ』と思った。

友人としてビーナスは嫌いではないが、しかしどうしても男性が恋愛感情を彼女に持つというのは考えられないのである。(誰だってそう思うだろう)

なのにそこまで彼女を愛する男性がいるとは…

かなり驚きモノだ。

まさか太公望が、なんて思う由もない。

色々考え事をしながらやると、地道な作業は気がつくと終わっていることは多いもので、が色々思考をめぐらせていると、チョコは知らぬ間に刻み終えていた。

「できましたわね?では、湯せんにかけますわよ」

ボールに熱いお湯を注ぎ、そこに先ほどのチョコを入れたボールを浮かべる。

すると、みるみるうちに細かくぎざぎざになっていたチョコの表面が蕩けて滑らかになっていく。

「お〜、どんどん溶けてる〜vv」

溶かすのにそう時間はかからなかった。

すっかり液体になったチョコを、とビーナスは型に流し込む。

義理チョコの方は簡単なカップチョコにしようと、カップにもチョコを流し込んだ。

「これで固まったら形が出来るんだ〜、面白いねv」

「喜ぶのはまだ早いですわ。固めているうちに、次の作業に入ります」

「何するの?」

「生クリームを作るんですわ。生クリームの素をひたすら混ぜ合わせて」

「へえ〜、どれくらい?」

「ひとによってそれぞれですが…初心者なら30分くらいですわね」

…ん?

今何と。

30分?

ひたすらかき混ぜるのを?

「…マジっすか」

「ふわふわになるまでやるんですのよ」

まあ、習うより慣れろ。実践あるのみだ。

やってみる。



15分で挫折。

「うわー;;あと半分あるよー;;」

「辛抱あるのみですわ!」

「う〜;;…これホントにクリームになるの?いつまでたってもさらさらなんですけど」

「空気と混ぜ合わせれば、ちゃんとクリームになりますのよ」

「材料間違ってるとか…」

「これは市販のもので、もともと材料が入ってますから、間違えることはそうそう無いですわよ」

「でもなぁ…」

「言ってる前に、その手元にある素をかき混ぜなければ」

さあ早く、と急かし、ビーナス自身も急いでかき混ぜ始める。



さらに15分後。

「…でっ、出来たぁ〜;;」

「チョコの方も固まったようですわね」

型から外すと、流石は太乙、予想通りどころか、予想以上の出来映えである。

は、生クリームを絞り用の容器に移し、チョコの輪郭だけでなく窪んだ目と口の部分にも絞った。

「まあ、上出来ですわ」

「やったv」

あとはそれぞれ包装して、終了。

洗いものとか、そういう野暮なことは考えてはいけない。

「じゃ、ありがとね!ビーナス」

「お礼には及びませんことよ」

はバッグにチョコを詰めて、ビーナスの家を後にした。

さて、明日はドキドキのバレンタインデーである。

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